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超音速モデルロケットに関するサーベイ

はじめに

モデルロケットの紹介文などで、よく「超音速を超えるものまで…」と書いてあるのを目にします。よし、超音速ロケットやってみるかと思い、膨大な労力と時間を使って調べたものの、ちょっと無理だなと凍結された計画の詳細を記したのがこの記事です。こらそこ!誰得とか言わない‼

超音速とは(圧縮性流体力学の基礎の基礎)

流れの速さを表す時によく使われるマッハ数Mというパラメーターは、流れの速度Vと音速aとの比であり、M=V/aとなっていて、無次元数です。ここでの音速は、物理のほうの音速で、色々な要因に左右されます。

 流れは、マッハ数によって分類されていて、ざっと挙げると

  • 非圧縮性流(incompressible flow):M<0.3 流れによる密度の変化をほとんど考える必要がない。
  • 亜音速流(subsonic flow):0.3<M<0.8 流れの中に翼を置いた場合、翼面上に衝撃波が現れる速度領域まで。
  • 遷音速流(transonic flow):0.8<M<1.2 音速前後の流れで、高亜音速と低超音速からなる。諸量がマッハ数に対して非線形に変化する領域で、解析や予測が困難。
  • 超音速流(supersonic flow):1.2<M<5 流れ場は線形となり、波動型方程式の解を使って解析される。
  • 極超音速流(hypersonic flow):5<M 物体前方にできる衝撃波が物体にかなり近づき、この衝撃波と物体との間の領域で流れの諸量が急激に変化する。流れ場は非線形なり、解析は困難である。さらに、流れとともに熱を考慮する必要がある。

上記のうち、非圧縮性流以外の流れを扱うのが圧縮性流体力学です。なんとなくわかると思いますが、超音速は他の流れに比べ単純で、理論と実際のデータが一致しやすいらしいです。『きれいな波の世界である』by中村佳朗。音速より流れが速いので、擾乱(定常状態からの乱れ)が進行方向に伝わらず、後ろにのみ伝わります。

抵抗係数

0から超音速までいくためには遷音速を通る必要があります。遷音速で起こる現象の一つである抵抗係数の変化について記します。

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マッハ数が上がっていくと、衝撃波の運動エネルギーによって発生する造波抵抗や、急激な圧力上昇による境界層の逆流によって、抵抗係数が急激に増えます。

この現象を抵抗の発散(drag divergence)といい、この時のマッハ数を抵抗発散マッハ数(Mdd:drag divergence mach number)と言います。現在運行している旅客機はその機体の抵抗発散マッハ数以下の速度で飛行しています。ちなみに極超音速で、抵抗が一定になるのはmach independenceというらしいです。

マッハコーン

物体が超音速で飛行する時(物体から見れば、超音速の流れが向かって来る時)、物体に対する流れの速さVが音波の伝播速度=音速aを上回ることになります。これによって、四方八方に逃げる密度変化より物体が先に前に進み、マッハコーン(mach cone)という円錐状の領域ができます。物体から発生する擾乱は、この領域に閉じ込められます。

マッハコーンの側面は、衝撃波(諸量が不連続に変化する不連続面)で、10^–5cmのオーダー。衝撃波を横切ると、速度は減少し、圧力、密度、温度は増加します。これによって、地上では、ソニックブームという衝撃波が減衰した轟音が観測できます。

この轟音を少しでも減らそうと、JAXAではDーsendプロジェクトが進められています。簡単に言うと、低ソニックブーム設計の重さ1000kgの機体を上空30kmから自由落下した後、自律制御でマッハ約1.3、経路角50度で滑空させ、直下に発生するソニックブーム波形を計測するらしいです。いつか日本製の「静かな」超音速旅客機に乗れる日が来るかも…

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上の図において、物体の運動速度Vと擾乱(音波)の進行速度aからマッハコーンの角度、マッハ角μが求められます。まあ流石に三角比です。

sin∠μ=a/V ここから、M=a/V なので、 sin∠μ=1/M にでき、μ=asin(1/M) まで出来ます。 ちなみに、asinはarcsinとも呼ばれ、sin^ー1を表します。

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この式を元に、Excelでマッハ数とマッハ角の関係を求めると上の図のようになります。関数はマッハ角=DEGREES(ASIN(1/マッハ数))です。ASINでラジアンが出るので、DEGREESでラジアンを度にしています。

実践にむけて

ざっと理論について説明したところで、実際にモデルロケットを使って超音速を超えられるか考えてみます。最終目標はモデルロケットを超音速で飛行させ、地上でソニックブームを観測し、マッハ角の式の検証やソニックブームのdBの測定などを行うことです。

シミュレーション

日本に輸入されているエンジンはJ型までですが、3級で使えるのは(僕が使えるのは)G型までなので、そのうちのG80ー7Tを使うと想定して前述の「Open Rocket」を使ってシュミレーションします。とりあえず最大速度を上げることだけ考えて、あとはなんっっにも考えずに設計しました。

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上の図の機体はシミュレーションの結果、安定値0.7calで最大速度569m/s、最大高度は1253mになりました。いちおう超音速には達していますが、機体が17gというおよそありえないようなことになっています。

幾つか試しましたが、G型エンジンで超音速を実現することは、無理じゃないが、かなり無理があることがわかりました。(要するに無理)ただし、H型エンジンを使えば前ページの機体で(H型はG型より長くなるのでその分だけボディーチューブをのばすと)少し重くしても、軽々と超音速に達するという予想になりました。まあできないものはしょうがない。

そうは言ってもやはり、ここまでやったので一通り全部書いちゃおうと思います…

製作について

G型エンジンを使うので、ハイパワー(ライト)モデルロケットという分類になり、A、B、C、型などを使ったモデルロケットとは作り方が違い、接着剤もエポキシを使うなど、かなりの強度が求められます。ここでは、ハイパワーモデルロケットを超音速で飛行させる場合に必要な変更点についてのみ記します。

  • 厚いフィンだと衝撃波によって境界層が剥れ、振動を起こさせる「バフェット」という現象を引き起こします。フィンの破壊につながるので、航空ベニアで強度が確保できる範囲でフィンを薄くします。
  • 衝撃波の発生を抑制するため、フィンは二重くさび型翼にし、後退角をつけます。コニカルノーズにして、ランチラグをつけないと良いそうです(タワーランチでの打ち上げ)。

するべきこと(法律関係)

  • 総火薬量20gを超えるエンジンを購入し、打ち上げをする場合は火薬類譲受・消費許可申請を行い、火薬類譲受消費許可証を入手する必要があります。
  • モデルロケットに係わる火薬類取締法令の注釈によって、G型エンジンを消費する場合、発射台から対外物件まで60m確保する必要があります。ただし、落下地点はもっと遠くなるのと思うので、実際はそこそこ(相当)広い敷地が必要です。
  • 航空法の高度制限を超える飛行が行われると予想される場合は、上空使用許可申請が必要です。

測定方法

さて、実際にソニックブームの測定について考えてみます。マッハ角を求めるには、ソニックブームが聞こえた瞬間のロケットの高度と測定地点から発射台(厳密にはロケットの真下)の距離を知る必要があります。このうち後者は簡単にわかりますが、(ちなみに前述の機体だと200m離れればソニックブームが聞けます)前者は少し大変です。高度記録計を搭載すれば、リフトオフから何秒後(0.05秒ごと)に何mにいたということがわかります。おそらく、測定地点から発射台ははっきり見えないと思うので、リフトオフからソニックブームが聞こえるまでの時間を正確に測る別の方法が必要です。この前思いついた、かなり正確に測れそうな方法を書いておきます。

用意するものは、2個の0.01秒まで測れるストップウォッチ(CASIOのアレ)と2台のカメラです。最初に、2台のストップウォッチをスタートさせたら(確実にずれるので)1/1000秒ぐらいで写真を撮り、最初の誤差を調べておきます。次に、発射台と測定地点に動いているストップウォッチと、カメラを持って移動します。発射台のカメラはロケットが乗った発射台とストップウォッチが、測定地点のカメラはストップウォッチが映るようにして60p(毎秒のフレーム数)で録音しながら動画を撮ります。測定地点でソニックブームが聞こえた瞬間のストップウォッチの時間から発射台でロケットがリフトオフした瞬間の時間を引き、最初の誤差で補正すれば±0.03ぐらいまで正確に測れると思います。ただし、これはロケットが発射台から垂直に飛行することが前提で、ソニックブームの、風による誤差は考慮されていません。前者はジャイロセンサーを積むことによって補正が可能ですが、後者は風の動きを正確に調べることは不可能なので、難しいです。

最後に

「はじめに」にも書いたように、まだこの計画は実現していません。いつか打ち上げる日が来ることを楽しみにしています…

前半で圧縮性流体力学について触れましたが、ここに書いてあることは僕が理解できたことだけ(ほんの一部)です。かなり面白い分野なのでもう少し深めたいと思っています。

この記事を書くにあたって参考にした中村佳朗研究室が公開している圧縮性流体力学のテキストは、156ページのpdfです。圧縮性流体力学について一通り書かれていて、何度か改正され、わかりやすいテキストです。粘性流体力学や、非圧縮性流体力学のテキストも公開されていて、ありがたいです。

参考資料

パル文体の特性に関するメモ

  • 最初は必ず「こんにちは。」
  • 読点が少ない
  • 基本はですます調だが、段落の最後の文のみ常体になることもある
  • 唐突な主語の拡大が起こる

御茶ノ水

市ヶ谷駅で流れ解散を果たした我々は、思い思いの方角に向けて霧散しました。日吉民などは、惜しげも無く直帰していましたが、ここは都会、東京。紛れも無い異郷の地であり、なにもせずには帰れません。

とは言っても何か計画があるわけでもなかったので、友人のバンドマンの楽器屋巡りについていくことにしました。

楽器屋が集まっている御茶ノ水まで、調べてみると歩いて行けそうだったので、12時過ぎの昼休み中会社員でごった返すオフィス街を闊歩しました。街にはスーツで身を包んだ多種多様な老若男女が往き交い、なんともいえない無表情を浮かべながら昼の糧を探していました。

しばらく歩くと、交差点の角にランチセット800円のオサレなイタリアンのレストランがあったので入ることにしました。お昼時とだけあって、2階席も満席だったので一階席にしました。イタリアンといっても、サクッと食べるためのファストイタリアンといった感じで、カウンターで注文して番号札をもらう形式です。僕はホウレンソウと焼きサーモンのパスタとカプチーノにしましたが、バンドマンはボロネーゼとカプチーノみたいなものを頼んでいました。ホウレンソウソースは成城石井に売ってそうなやつだったので、ポロネーズがbetterだと思います。食べているときは飽きの来ないパスタの消費法についてOL風に語り合ってみました。

市ヶ谷と御茶ノ水の間には古本屋で有名な神保町があります。古本に付けられている、どちらがコンテンツなのかわからないほど大量の紙札をみることができました。

御茶ノ水駅付近に行くと、そこにはもう楽器屋しかありませんでした。上下左右全方位、全ベクトルに楽器屋がひしめき合っています。カホンという、ドラムが使う四角い箱の太鼓が積み上げられている店を見て、椅子に買ってどぅるるるるるるるーしたいなどと話しながら歩きました。バンドマンはベースとエフェクターを見ていましたが、僕はシンセやターンテーブルを見ました。RolandのTR-8も拝めることができ、少し触ってきました。

現場からは以上となります。

作った

不定期に怪文書を書くことがあるので rxon’s miniminimal tech blog - rxon.now.sh と分離させるために作りました。怪文書のみを取り扱っております。

由来はこちらとなります。

そういうわけでやっていきます。